「 PARTICLE Deep Vol.5 」この選択肢こそPARTICLE
この選択肢こそPARTICLE
── 連載総括
連載を閉じる前に
PARTICLE Deep Dive、いよいよ最終回になりました。
連載のスタートはVol.1の「品質検証フェーズから処方フェーズへ」という打ち出しでした。中国カーボンホイールの世界がもう「使えるか/使えないか」を語る段階を抜けて、「お客様が、何を、どう選ぶか」を語る段階に入っている ── そのことをPARTICLEというブランドを通じて確かめていく、というのが連載全体の旨でした。
Vol.2では3シリーズ×4グレードの構造を読み解き、Vol.3ではGCX Hyperlight 52mmを「軽量ディープエアロという新ジャンル」として実走で検証しました。Vol.4ではRCX Ultralight 50mmを走らせて、加速の派手さはないけど「静かに走り、静かに速い」というPARTICLE GEN4スポークの個性に触れました。
そして最終回となる今回は、ここまで積み上げてきた素材を一度俯瞰し、PARTICLEというブランドそのものの異質さを業界の地図のなかに置き直してみようと思います。連載のなかで最も俯瞰的で、そして読者の皆様が自分自身で選ぶための指針になるはずです ──
ライトを基点に派生する4つの層
PARTICLEは現在、大きく分けて4つのグレードを展開しています。ハイパーライト、ウルトラライト、ライト、チーム。Vol.2のテクニカル編ではこれを「3シリーズ × 4グレード」のマトリクスとして整理しましたが、Vol.4までの実走を経て、私の中では別の見方が固まってきました。
すなわち、「ライトを基点に、上方向と下方向へ派生する構造」という見方です。
ウルトラを改良した軽量ディープエアロのオールラウンド ─ 連載の到達点
ライトから軽量化、登りに振った設計
オールラウンドのベース ─ はじめてのカーボンホイールにも
ライトより価格を抑えたグレード ─ 体重のあるライダーへのフォローも
ライトが業界のベースです。中国カーボンホイール業界における「20万円前後のオールラウンドモデル」というカテゴリ。各ブランドがそれぞれの「ライト相当」を持っていて、そこを基準点として独自の方向へ派生させています。
PARTICLEの場合、ライトから上方向にウルトラライト(軽量化・登りに振った設計)が派生し、さらにそれを改良したハイパーライト(軽量ディープエアロのオールラウンド)が派生します。下方向にはチーム(価格を抑えた入門グレード)が派生します。
ライト → ウルトラ(軽量化) → ハイパー(さらに改良) という2段の上方向派生、そしてライト → チーム(価格抑制)という下方向派生。一社が4方向に展開しているのは、業界全体を見渡しても珍しい構造だと感じています。
ここで言葉について少し補足しておきたいことがあります。チームを「廉価版」と呼ぶことに私はどうしても違和感があります。20万円前後の予算で初めてのカーボンホイールを探されているお客様にとって、それは決して「廉価」ではないからです。チームは ── 中国カーボンホイール業界の体重のあるライダーへのフォローも含めた ── 「20万円を切る選択肢」として、入口の層を担っているグレードです。「リーズナブルな高級だけど入門モデル」── このニュアンスで読んでいただければと思います。
業界の地形図 ── 3層構造で見る他ブランド
PARTICLEの内部構造が4層なら、業界全体は3層で読み解けます。ベース、ハイエンド、そしてハイエンドの上 ── この3つの価格帯に、各ブランドの主力モデルがどう並ぶかを見ていきましょう。
ベース層 ── 20万円前後
ここは中国カーボンホイール業界の標準フィールドです。各ブランドが「20万円前後のオールラウンドモデル」をベースとして揃えています。
| ブランド | モデル |
|---|---|
| PARTICLE | ライト |
| 8LIEN | L5W |
| NEPEST | NOVA |
「はじめてのカーボンホイール」「オールラウンドに使いたい」というお客様にとって、まずはこの層から選ぶことになります。各ブランドのキャラクターを比較するなら、ベース層同士を並べるのが最も公平だと感じています。
ハイエンド層 ── 22〜27万円
ここから上が、各ブランドの個性が分かれる戦場です。同じ価格帯のなかで、それぞれが異なる方向性で勝負を仕掛けています。
ダンシングがクイックで、カチっとした踏み心地。
軽量を活かす走り方に向く、明確なバネ感。
ある程度の重量を許容し、総合性能を求める方向。
高速巡航の伸びを重視した設計。
ここで読み取れる重要なことは、ハイエンド層では「どれが上か」という比較が成立しないということです。PARTICLEウルトラと8LIEN AETHER 5は登り寄り、YOELEO QUINKUNはバランス重視、CRW CS5060はエアロ重視 ── それぞれが異なる答えを持っています。お客様の走り方と志向によって、選ぶべきホイールが変わる ── ここが、まさに「選択」が成り立つ場所だと感じています。
ハイエンドの上 ── 30万円クラス
そしてその上、30万円クラスの「ハイエンドの上」という層に踏み込んでいるブランドは ──
PARTICLE ハイパーライト、ただ一機種。
これが、Vol.4を走り終えてから私が業界の地図を描き直した結果、最もはっきりと浮かび上がってきた事実です。次のセクションで、この「ハイエンドの上」が何を意味するかを書いていきます ──
頂点の唯一者 ── ハイエンドの上に立つPARTICLE
30万円クラスにPARTICLEハイパーライトだけが立っている ── これを書くと、まるで「他社が追いついていない」というような優劣の話に聞こえてしまうかもしれません。そういう趣旨ではありません。
このカテゴリにブランドが少ないのは、そもそも「ハイエンドの上」という新しい層を切り拓いている最中だからです。各ブランドがこれから参入してくる可能性は十分にあります。むしろ私が書きたいのは、PARTICLEがこの新しい層を一足先に切り拓いている、その意味のほうです。
なぜハイパーライトはここに立てているのか
ハイパーライトの設計を、Vol.1〜Vol.3で見てきたスペックと、私自身が最近ずっと走らせてきた体感を合わせて整理すると、3つの要素が重なっていることが分かります。
ウルトラライトを起点に、そこをさらに改良して達成した軽量化。登坂で確かなアドバンテージになる重量域です。
軽量と空力を両立させること自体が、ホイール設計における伝統的なトレードオフでした。それを高い次元で実現しているのがハイパーライトの設計だと感じています。
ここが個人的に最も驚いた部分です。中国ブランドのホイールで、ここまで横風に強いモデルは今までなかったのではないかと感じています。ROVALやDTといった世界的なホイールメーカーが採用しているリム断面の設計思想に、PARTICLEは確かに到達している ── これが私の正直な所感です。
「軽量×エアロ×横風対応」── この3つを同時に成立させるのは、設計上の難しさで言えば各要素を単独で詰めるよりずっと高いハードルです。それを単一機種で達成し、軽量ディープエアロという新しいオールラウンド像を作り上げた ── これがハイパーライトを「ハイエンドの上」に押し上げている技術的な理由ではないかと考えています。
ハイエンドの上の層を切り拓くということは、単に高いホイールを作るということではありません。従来のトレードオフを一つ崩したということです。軽量と空力、登坂と巡航、そして横風安定性 ── これらをすべて成立させた一機種が、30万円クラスという新しい層を生み出したわけです ──
同じウルトラライトに、21mm幅と25mm幅 ── 選択の幅の二重構造
Vol.4で触れた、もう一つの異質さを引き取っておきたいと思います。
PARTICLEは同じウルトラライトのグレード内に、内幅21mmと25mmの両方をラインナップしています。8LIEN AETHER 5には21mm幅の選択肢はありません。NEPEST NOVAも、CRW CS5060も、同様です。同じグレードを2つの異なるリム内幅で展開しているブランドは、私の知る限り他にありません。
ヒルクライム特化、ダンシングで攻める走り方に。
現代ロードホイールの「最適解」とされる仕様。
これは何を意味するのか ── PARTICLEは、4層構造に加えて、もう一段細かい選択を可能にしているということです。「軽量ヒルクライム機材として極限まで攻めるなら21mm」「現代のロードホイールとしての汎用性を取るなら25mm」── 同じグレード内でこの選択肢を与えているということは、ブランド側がお客様の脚質や走り方の細部まで読み取ろうとしている、ということだと私は感じています。
「品質検証」から「選択」へ ──
REWORDING ─ 連載のなかで気づいたこと
お客様自身が、自分の脚質と、自分の走り方と、自分の予算と、自分の志向を持って、自分で選べる時代になっている。コーチや販売店はその選択を支える地図を渡す側に回る ── これが、5回の連載を経て私の中で固まってきた感覚です。
だからこの章のタイトルは「処方フェーズへ」ではなく ── 「選択フェーズへ」と書き直したいと思います。
連載5回を通じて、その仮説をPARTICLEを軸に検証してきたわけですが、Vol.5まで来てそれを言い直すとすれば、こうなります。
選択の時代が成立するためには、選べるだけの土俵が必要です。グレードの幅、価格帯の幅、リム内幅の幅、設計思想の幅。これらが揃っていなければ、お客様の手元には「決められた一択」しか残りません。それは選択ではないのです。
PARTICLEは ── 一社で ── その土俵をほぼ単独で作り上げています。だからこそ、私たちはPARTICLEを通じて「選択フェーズへの移行」を語ることができる。連載の出発点と着地点は、ここで結ばれます。
もちろん、これはPARTICLE一社だけの話ではありません。8LIEN、NEPEST、YOELEO、CRW ── 業界全体がそれぞれの方向で前進しているからこそ、ハイエンド層に4つの異なる答えが並んでいるわけです。業界全体としての成熟が、選択フェーズを支えている。これも忘れずに記しておきたいことです。
── ハイパーライトという到達点
最後はもう少し個人的な話で締めたいと思います。
連載のなかで、私はPARTICLEに触れてきました。そのなかで、最近ずっと自分のバイクに付けているのが、ハイパーライトです。チームの選手たちと走る朝練でも、長めのソロライドでも、登坂中心のコースでも、平坦巡航のコースでも ── 結局、ハイパーライトに戻ってきています。
なぜ、ハイパーライトを選び続けているのか
理由はシンプルです。このホイールは、すべてに応えてくれるからです。
1000gを切る超軽量だから、登坂区間で重さを感じさせない。それでいて高いエアロ性能を持っているから、平坦巡航の伸びも犠牲になっていない。そして決定的なのが、横風への強さです。京都の郊外を走っていると、季節と地形によって思わぬ強い横風に遭遇する場面があるのですが、ハイパーライトは ── 驚くほど安定しています。
ROVALやDTといった世界的なホイールメーカーが採用しているリム断面形状の思想が、ここに息づいている ── これが私の率直な実感です。中国ブランドホイールでここまで横風に強いモデルは、今までありませんでした。
連載を書いてる中で感じたこと。
純粋に「自身がどのホイールに乗り続けるかと」を答えるとすれば ──
それはハイパーライトです。
もちろん、これは私個人の選択であって、お客様すべてに同じ選択が正解になるわけではありません。登りに振り切るならウルトラ、はじめてのカーボンならライト、予算を抑えるならチーム ── PARTICLEの4層構造は、それぞれのお客様にそれぞれの答えを用意してくれます。
この選択肢こそPARTICLE
「選択というフェーズへ」
最終回となるVol.5で、PARTICLEを一言で表すと ──
この選択肢こそPARTICLE。
4つの層、3つの価格帯、同じグレード内に2つのリム内幅、そしてハイエンドの上に立つ唯一のオールラウンド頂点 ── これらすべてを一社で持っているということ。それがPARTICLEというブランドの異質さであり、選択フェーズを支える土俵です。
次へ ── 比較ブログ群の予告
次回からは、ホイール比較シリーズを書いていこうと思います。
当面、以下の3本を書いていく予定です。
軽量を活かす走りに向くAETHER 5と、軽量ディープエアロのオールラウンドであるハイパーライト ── 価格帯は重ならないものの、走らせたときのフィーリングがどう異なるかを正直に書く予定です。
ハイパーライトの「軽量×エアロ×オールラウンド」と、CS5060の「F50/R60前後異径のエアロ重視」── 同じく「エアロを語るホイール」でありながら、思想がどう異なるか。
ハイエンド層で「軽量を活かす走り」を狙う2機種の直接比較。PARTICLE GEN4スポークのマイルドな応答と、8LIENオリジナルGEN4スポークのバネ感の対比
まずは 「PARTICLE ハイパーライト vs 8LIEN AETHER 5」から
hello cyclingらしく丁寧にしっかりと書き進めていきたいと思っています ──
この選択肢こそPARTICLE。
── PARTICLE Deep Dive 完結
【Jam cycle 機材インフォメーション】
PARTICLEのホイールにご関心のあるお客様には、店舗にてご相談・ご試乗の打診を承っております。ハイパー、ウルトラ、ライト、チーム ── 4つのグレードのなかから、お客様の走り方と志向に合った1本を、ご一緒に選ばせていただきます。
データだけでは語れない「生きた機材の感覚」を、ぜひご自身の脚でご体感ください。
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※ もちろん、店頭でのお声がけも大歓迎です。
※ 本記事のインプレッションおよび業界俯瞰は筆者個人の体感と知見に基づくものであり、体重・走行環境・セッティング、また各ブランドの製品ラインアップの変動により、印象や位置づけは異なる場合があります。
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