【 8LIEN 徹底解説 Vol.4】|L6W 実走インプレッション
LW:F50R60 & L6W
実走インプレッション
──ディープリムが見せる、
「兄弟機」のふたつの答え
思いっきりモガきたくなるF50R60、登れる超エアロのL6W。10mmの差が生む性格の違いを検証します
前回のVol.3では、オールラウンダー姉妹機のL5WとF50R50を見てきました。いよいよ最終回となるVol.4は、ディープリム兄弟機のLW:F50R60とL6W。
この2本、実はとても面白い関係性を持っています。フロントのリムハイトが50mmと60mm、その差わずか10mm。しかしこの差が、ハンドリング、巡航感、使えるコース、向いているライダーまでを大きく変えていきます。
SNSで「ディープリム」と聞くとL6Wを想像する方が多いかもしれませんが、F50R60もれっきとしたディープの仲間です。両者を並べて乗ってみると、ディープリムという枠の中でも「オールラウンダー」と「純エアロ」という対照的な性格が見えてきました。
思いっきりモガきたくなるホイール ──
ディープリム内の「オールラウンダー」
ペア重量:1,250g ±30g
リム内幅 / 外幅:25mm / 34mm
※ 前後で10mm差のある「異径リム」設計
■ 踏み出し ── 60mm特有の重さが、かなり少ない
60mmハイト特有の漕ぎ出しの重さは、かなり少ないというのがF50R60の第一印象です。リア60mmなので構造的には普通の60mmディープの宿命を背負っているはずなのですが、8LIENらしい軽量設計のおかげでその影響はかなり抑えられています。
そして何より印象的なのが、剛性の高さです。踏んだ瞬間のヨレのなさ、ペダルに足をかけた瞬間から駆動しようとする感覚 ── 踏んだら踏んだ分、回したら回した分だけ前に進むという手応えがあります。
■ 思いっきりモガきたくなるホイール
F50R60を一言で表現すると、まさに「思いっきりモガきたくなるホイール」です。
60mmハイトのホイールの多くは、重量増の影響、スポークの短さの影響を受けて、どうしてもペダリングでモタつく感覚があります。足を回している間ずっとホイールが脚にまとわりついている感覚、と言えばいいでしょうか。
それに比べると、F50R60は踏んだ瞬間に一瞬の抜け感があります。これは同じディープ系のL6Wと比較しても、F50R60ならではの独特のキャラクターです。
この抜け感は、前後異径リム設計から生まれていると考えられます。リア60mmのパワフルさが後輪を強力に押し出し、その力を受け取るフロントが50mmというやや低ハイトのため、軽く素早く回ってくれる。つまり「ディープリムで押されたエネルギーを、フロントの軽快さでサッと前に流す」という構図になっているように感じます。
この抜け感があるおかげで、登坂もこなせるんだと思います。本格的な登坂用ホイールではないものの、60mmディープとは思えないほど登りでの軽快さを残している ── F50R60の万能性の核心がここにあります。
■ 気になった点 ── フロントとリアのギャップ
ここは正直にお伝えしておきたいのですが、F50R60には独特の「気になる点」があります。
フロント50mmのおかげでハンドリングは軽快です。しかし走り込んでいくと、リアの60mm特有のグワングワンと回る勢いのあるフィーリングと、フロントの「スッ!」と軽快に回ってくれる感覚 ── このキャラクターのギャップに、少し戸惑う瞬間があります。
シチュエーションによっては、ハンドリングが軽すぎるように感じる時があります。特に高速の下りコーナーや横風。一瞬フロントホイールが負けているような、ハンドルが取られるような感覚です。
興味深いのは、この不安定さがL6W(前後60mm)になると消えてしまうという事実です。前後を60mmで揃えれば揃えたで軽快さを失いますし、前を少し低くしたらしたで違和感がある ── 完全に「ないものねだり」ですよね(笑)
しかし、ここにこそ機材選びの面白さがあると思います。どのホイールも「完璧」ではなく、それぞれの性格に合わせて乗り手が選び取る。F50R60は「前後異径の挙動ギャップを受け入れられる人」にとっては、これ以上ない万能ホイールになるはずです。
ディープリムだけどオールラウンドに使いたい人に。
平坦のロングライドをどっしり巡行しつつ、少しの登りをダンシングでしのげる1本です。
ディープリムだけどオールラウンドに使いたい人、平坦をロングライドで巡航したい人に向いています。どっしりと走りつつ、少しの登りをダンシングでしのぐ ── F50の軽快さがそれを可能にしてくれます。
登れる超エアロホイール ──
前後統一60mmが生む「一体感」
ペア重量:1,290g ±30g
リム内幅 / 外幅:25mm / 34mm
※ 前後60mmで統一された「超エアロ仕様」
■ 踏み出し ── 他社の60mmより、ダントツで軽快
L6Wの踏み出しは、他社の60mmホイールと比較するとダントツで軽快です。1,290g台という60mmディープとしては驚異的な軽量設計が、この体感に直結しています。
ただし、シリーズ内で比較した場合には別の顔を見せます。L5WやF50R50と比べると、後輪のリムハイトが高い分、踏み出しの硬さをはっきりと感じます。これはL6Wの欠点ではなく、前後60mmというコンセプトの必然です。
■ 巡航能力 ── 「グワン!」と進む60mmの本領
L6Wの真価が現れるのが巡航域です。
一漕ぎで「グワン!」と進む感覚 ── これはやはり60mmディープならではのものです。後輪が車体を前に押してくれる感覚はF50R60と似た部分がありますが、L6Wはフロントも60mmなので直進安定性が非常に高く、ハンドリングに違和感が生じません。
F50R60では、後輪60mmから押された時に、フロント50mmが少しハンドルを取られる感覚がありました。しかしL6Wにはこれがありません。フロントとリアが同じ60mmで揃っているため、前後の一体感があり、後輪からの推進力をフロントが素直に受け止めてくれます。
ペダリングのタイプは、「踏んで走る」タイプになります。リムハイトが高い分スポークが短くなり、踏み心地はマッシブで硬い。そのため巡航時にはケイデンスが下がり気味になる印象があります。L5W系が「ハイケイデンス向き」だったのに対し、L6Wは明確に「トルク型」のキャラクターです。
■ 登坂 ── 走れるが、L5Wと比べると平坦寄り
軽量な60mmディープなので、登坂も問題なく走れます。しかしL5Wやオールラウンダー系と比べると、L6Wは明確に平坦寄りのホイールであることは間違いありません。
あくまで「他社の60mmディープと比べれば軽快である」というニュアンスで、絶対的な登坂性能の話ではありません。この正直な認識があれば、L6Wの得意分野がくっきり見えてくると思います。
■ ハンドリング ── 下りの安定感がピカイチ
ここがL6Wの真骨頂です。
F50R60で感じた「下りや加速時に後輪から押されてハンドルが定まらない感覚」── これがL6Wには一切ありません。前後60mmのリムハイトが生む直進安定性は圧倒的で、下りの安定感や速さはピカイチです。キャラクターのギャップがなく、前後の一体感があり、とても扱いやすい。
■ 横風 ── 面積は大きいが、重量で「まっすぐ走ろうとする」
横風の違いは、実は一概には言えません。
フロント50mmのF50R60は、面積が60mmより小さいため物理的に風を受けにくい。一方L6Wは、60mmという大きな面積で風を受けますが、リム重量からかまっすぐに走ろうとする印象があります。つまり「風の受け方」と「風への抵抗力」のバランスが、両者で違っているわけです。
横風問題は一面的には判断できない、というのが実走から得た結論です。
■ 下り・高速域 ── ここが本領発揮
下りや高速域でのL6Wは、本当に速いです。
グワーっと転がっていく感覚があり、速度が乗ると本当に気持ちいい。登り・下りの連続のようにクイックに踏んでは下ってというコースでは少しきつく感じ、パワーが必要になりますが、平坦基調のコースでのL6Wは凄まじいです。
■ どんな人に向いているか
L6Wが本領を発揮するのは、以下のようなライダーだと思います。
平坦を高速で走り続けたい人、トルクをかけて踏んでいくタイプの人。L6Wの本質はここにあります。
あの「グワン!」と進む感覚、どっしりとした接地感 ── ディープホイールならではの乗り味を純粋に楽しみたい人に。
体格のあるライダーにとって、L5Wなどは少し華奢に感じることがあります。L6Wの剛性感と重量感は、そうしたライダーに安心感を与えてくれます。
率直に言って、60mmの見た目は本当にカッコいいです。この「見た目のカッコよさ」も、ホイール選びの立派な理由の一つだと思います。
平坦基調の高速巡航が本領。
他社60mmディープでは得られない軽快さを、パワー系ライダーに。
シチュエーションで使い分けたくなる ──
これぞ「ディープリム兄弟機」
ここまで見てきたF50R60とL6Wの関係性 ── これはまさに「兄弟機」と呼ぶにふさわしいものだと感じています。
両方持っていたら、高速コースはL6W。少し登りがあるとF50R60。
ダンシングを多用するコースでもF50R60。
このようにシチュエーションによって分けて使いたくなるホイールです。 ── Jamcycle
| 項目 | LW: F50R60 | L6W |
|---|---|---|
| 得意な場面 | オールラウンドなコース、少し登りあり | 平坦基調の高速コース、下り |
| ペダリング | 抜け感あり、登りもこなせる | 「踏んで走る」トルク型 |
| ハンドリング | 軽快、やや前後ギャップあり | 一体感、下りの安定感抜群 |
| 横風 | 面積小さく受けにくい | 重量でまっすぐ走ろうとする |
| ダンシング | F50の軽快さで振りやすい | 重量感あり、パワーが必要 |
もし「ディープを1本だけ持つ」という選択なら、オールラウンドに使えるF50R60が私のおすすめです。ディープの恩恵を受けつつ、登りも下りも万能にこなせる。ディープリムの入り口としても最適な1本だと思います。
逆に「平坦基調のコースが9割、ディープリムの乗り味そのものを楽しみたい」という明確な目的があるなら、L6Wです。平坦で引き出される圧倒的な推進力は、F50R60では絶対に得られないもの。加えてあの60mmの見た目のカッコよさも、L6Wならではの価値です。
L5W / F50R50 / F50R60 / L6W ──
4本それぞれの役割
全4回を通して見てきた8LIENの4モデル。それぞれを一言で振り返ってみます。
| モデル | 一言で | こんな人に |
|---|---|---|
| L5W | 超オールラウンダー | 1本で全てを楽しみたい人、登り下りを両方楽しみたい人 |
| F50R50 | 軽量エアロ | もっさりしないエアロを楽しみたい人、パワー系で平坦派 |
| F50R60 | オールラウンドディープ | ディープの1本目、万能に使いたい人 |
| L6W | 登れる超エアロ | 平坦高速派、パワー系、ディープの乗り味を愛する人 |
4本すべてに明確な個性と役割があり、ラインナップ全体で一つの完成された世界観を作っているように感じます。これが8LIENというブランドの奥行きだと、私は思います。
4回にわたる8LIEN徹底解説シリーズ、これで完結となります。
Vol.1でブランドとの出会いを、Vol.2で技術仕様を、Vol.3でオールラウンダー姉妹機(L5W / F50R50)を、そしてVol.4でディープリム兄弟機(F50R60 / L6W)を見てきました。
中華ブランドという言葉に対する不安から始まった物語が、一通のDM、何時間もの対話、届いたサンプルの品質、そして実走で感じた「カーボンの硬さ」「ダイレクトな反応」という確かな個性に繋がっていく ── この4回のシリーズを通して、8LIENの世界観が少しでもお届けできていれば嬉しいです。
気になるモデルがあれば、ぜひ Jamcycle 店頭で実車をご覧いただき、可能であれば試乗もしていただきたいと思います。データだけでは語れない「生きた機材の感覚」を、ご自身の脚でご体感ください。
8LIEN各モデル(L5W / LW:F50R50 / LW:F50R60 / L6W)、店舗にて試乗予約・ご相談を承っております。データだけでは語れない「生きた機材の感覚」を、ぜひご自身の脚でご体感ください。
・Instagram DM:@jam_cycle
・Mail:info@jamcycle.net
※ もちろん、店頭でのお声がけも大歓迎です。

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