「 PARTICLE Deep Vol.4 」感覚は静か、結果は速い ── RCX Ultralight

PARTICLE Deep Dive ― Vol.4 / 5

感覚は静か、結果は速い
── RCX Ultralight 50mm



PARTICLE GEN4スポークが描く、特有のフィーリング。


連載も4本目に入りました。Vol.3ではGCX Hyperlight 52mmを「軽量ディープエアロという新ジャンル」として実走から検証したわけですが、今回はRCXシリーズの最軽量モデル、RCX Ultralight 前後50mmを1日のチーム練習で走らせてきました。

ハイトはほぼ同じ50mm。重量も大きくは変わらない。それでも走らせると性格がはっきり違う ── この対比こそが、Vol.5の総括(PARTICLEが用意している4層のラインアップ全体を読み解く回)へつながる素材になります。Vol.4は、その素材を1機種の中に丁寧に置く回として書き進めていこうと思います。

TEST RIDE CONDITIONS
機材: PARTICLE RCX Ultralight 50mm(F50 / R50)
リム内幅: 21mm
タイヤ: パナレーサー AGILEST FAST TLR 28C
空気圧: 5.0bar(ライダー体重 84kg)
コース: チーム練習 80km、12〜13分の峠、2分弱の登坂区間、5%程度の峠、ペダリングし続けることのできる下り基調区間。別日に平坦メインのコースも走行

漕ぎ出しの数km ── PARTICLEのGEN4スポークの踏み心地


走り出して数km。まず感じたのは、漕ぎ出しの軽さです。ペダルに体重を載せた瞬間、ホイールが素直に前に出る感覚がありました。

同時に思ったのは、「これはハイパーライトに似た踏み出しのフィーリングだな」ということです。VONOAのGEN4や8LIENのGEN4で感じる感覚とは違う ── つまり、同じ「GEN4スポーク」と呼ばれているカテゴリの中にも、ブランドごとの味付けが確かに存在するということを、走り出しの数kmで体感しました。

GEN4 SPOKE ─ BRANDS HAVE FLAVORS

同じ「GEN4スポーク」を採用していても、ブランドごとに踏み出しのキャラクターが異なるというのは、設計思想や組み方、ハブとの結合機構などが影響しているのではないかと感じています。

少なくとも私の体感では、PARTICLEのGEN4スポークは 8LIEN AETHERのバネ感とは別系統で、NEPEST NOVAに採用されているVONOA GEN4寄りのマイルドな踏み心地に近い、というのが第一印象です。

この「PARTICLEのGEN4スポークの踏み心地」というカテゴリ感は、Vol.5で4ブランドを並べて読み解くときの軸にもなっていきますが、今回はまずRCX Ultralightの中で、その素顔を見ていこうと思います。


クンクンと反応する脚当たり


シッティングで踏み始めると、クンクンとペダリングに合わせてホイールが反応してくる感覚があります。軽量ホイール特有の、あの「脚に応える」感覚です。

ただし、8LIEN AETHERに採用されているGEN4スポークのようなバネ感は感じない。バネのように貯めて返してくる感じではなく、もう少しマイルドで、しっとりとした応答です。NEPEST NOVAに採用されているVONOAのGEN4スポークに近い味付け、と言うのが私の感覚では一番近い表現になります。

同じ「GEN4スポーク」、3種類の味付け
8LIEN GEN4 バネのように貯めて返す。
脚に明確な「跳ね返り」を感じるタイプ。
VONOA GEN4(NEPEST採用) マイルドで、しっとりした応答。
派手さは抑えめ、穏やかに進む。
PARTICLE GEN4 VONOA寄り、マイルド系統。
クンクンと反応するが、しっとり。
※ いずれも私の体感に基づく分類。設計仕様は各社の発表を参照

このマイルドな応答が、後ほど書く「The Gap ── 頭と体のフィーリングの乖離」につながっていきます。先回りすると、PARTICLEのGEN4スポークは、頭が予測する「軽さ」と、体が実際に出す「速さ」の間に独特の距離を作る ── これがこのスポークの本質ではないかと感じています。


カチっとしたダンシング


ダンシングに入ると、印象が一気に変わります。ハイパーライトよりもカチっとしている ── これが最も短い表現になります。

左右に車体を振りながら踏み込むと、ホイールがペダリングに対してキュッキュ!と進んでくれる感覚があります。ハイパーライトのときは「スースーっと進む」と書きましたが、それとは違う、もう少し歯切れの良い反応がここにあります。

ダンシング時のフィーリング比較
GCX Hyperlight 52mm スースーっと進む。
軽さと滑らかさが一体化したダンシング。
RCX Ultralight 50mm キュッキュ!と進む。
ペダリングに噛みつく、歯切れのある反応。

このカチっとした感覚の正体は、リム内幅21mmからくるものなのか、リム形状そのものの違いから来るものなのか ── 厳密にはまだ切り分けられていません。ハイパーライトとウルトラライトでリム形状も違うはずなので、両方の影響があると考えるのが自然です。

ただ、走らせて最も体感に効いていたのが「内幅21mm」だったというのは、次のセクションで詳しく書いていこうと思います。


21mm幅、再発見


最近、私自身が他ブランドで使うことが多かったのは内幅25mmのホイールでした。エアボリュームを稼げて、低空気圧でしなやかに走れる ── これが現代のロードホイールの最適解だ、という印象を持っていました。

そんな中で、今回はおよそ1年ぶりに内幅21mmを実走しました。結論から言うと、ウルトラライトという1000g前後の軽量ヒルクライム特化機種という文脈においては、21mm幅にしっかりとした存在意義があると感じています

21mm幅の体感 ── タイトにカチッとまとまる

21mm幅は、リムが細い分、全体がタイトにカチッとまとまっている感覚があります。コーナーリングのグリップも、荒れた路面でなければ細さは特に気になりませんでした。

そして、リムがコンパクトにまとまっていることが、ダンシングやシッティングの踏み出しの反応の良さに直結している ── これは1年ぶりに21mmを走らせた私にとって、はっきりとした再発見でした。

空気圧の話 ── 5barという選択

ここで触れておきたいのが、空気圧の問題です。タイヤはパナレーサー FAST TLR 28C、ライダー体重は84kg。普段、内幅25mm幅のホイールであれば4.0〜4.2barあたりで運用しています。

今回の21mm幅では、最初に4.8barで試しました。すると、ダンシングで前輪が潰れる感覚が出てきます。前輪が路面の入力に対してスムーズに前へ進んでくれない ── そのため、5.0barまで上げました。

5.0barにすると、ダンシングの応答は安定する代わりに、路面の凹凸を「ゴン!」と弾く感覚が出てきます。タイヤがしなやかに変形して凹凸を吸収してくれるというより、タイヤの形状そのままに弾かれる、という体感です。

AIR PRESSURE ─ TEST DATA
ライダー体重: 84kg
タイヤ: パナレーサー AGILEST FAST TLR 28C
25mm幅(普段): 4.0〜4.2bar
21mm幅(今回): 5.0bar
21mm幅 / 4.8bar: ダンシングで前輪が潰れる感覚あり
※ 体重・走行環境・タイヤ・コースにより最適空気圧は変動します

「25mm幅が最適」という見方への揺さぶり

私自身、ここ数年は「内幅25mm + エアボリューム + 低空気圧」が現代のロードホイールの最適解だという印象を強く持っていました。ただ、今回1年ぶりに21mmを走らせてみて、21mm幅の存在意義を改めて再確認しました。

オールラウンドに使うには内幅25mm。ただし、ウルトラライトという軽量ヒルクライム特化機材という位置づけにおいては、リムをタイトにまとめることでダンシングと踏み出しの反応に効くという「21mm幅の固有の価値」がある、と感じました。


下り・コーナー・平坦


下り ── 動き出しは早い、40km/h超で失速

下り始める瞬間の動き出しは早いです。これは物理的に軽量であることが大きいと感じます。登りでも下りでも、ホイールが動き出す瞬間の反応は良い。これはウルトラライトの一貫した性格です。

ただし、40km/hを超えたあたりから失速し始めるのは確かです。これは軽量ホイールである以上、仕方のないトレードオフだと考えています。回転体としての慣性が小さい分、速度域が上がると伸びが鈍くなる ── 

横風については、ハンドルが振られる感覚はありますが、挙動そのものは悪くありません。50mmハイトとしては、扱える範囲に収まっているという印象です。

コーナー ── 25mm幅とは癖が違うが、ヨレない

コーナーの切り返しは、普段使っている25mm幅とはハンドリングの癖が少し違います。ただ、ウルトラライトが軽量であるがゆえにヨレてコーナーが不安定になる、ということは感じませんでした

25mm幅はタイヤを潰してタイヤのグリップでコーナーを曲がれますが、21mm幅はコーナーのラインを読んでラインどりで曲がっていく。ある種自転車本来の曲がり方を思い出しました。

平坦 ── 43〜45km/h超で「自分次第」になる

平坦の高速巡航については、43〜45km/hを超えてくると、さすがにホイールそのもので前に進もうとしてくれる感覚はなくなります。ここから先は、ホイールが伸ばすというより、自分の脚が押し続けることでしか速度を維持できない ── つまり「自分次第」という領域に入っていきます。

これも超軽量とのトレードオフだと考えています。今回は長距離の平坦コースは走っていませんが、その範囲を走ってみての印象としては、ウルトラライトの21mm幅は長距離平坦向きではないと感じます。やはりこのホイールが本領を発揮するのは、登りであり、登り下りが続くコースであり、ダンシングを多用する走り方です。


頭と体のフィーリングの乖離


ここまで、ウルトラライトの素顔を場面ごとに書いてきましたが、このセクションが本記事の核心になると私は感じています。

漕ぎ出しは軽い。クンクンと反応してくれる。ダンシングはカチっと進む。スペックも体感も「速いホイール」のはずです。ただ、私の頭の中で「8LIEN AETHER」と無意識的に比較してしまい、そして戸惑いも感じました。

AETHER と PARTICLE の体感差

AETHERは100g近く重いのに、踏み出しでは「明確に軽い」と頭が感じます。一方、PARTICLEは少し踏み込みがしっとりとマイルドで、頭の「軽い」基準とは少しズレるのです。

このズレはハイパーライトのときにも感じました。ウルトラはハイパーよりはズレが少ないのですが、それでも残っています。だから、踏み方を探しているときには、体感としてはちょっとした不快さがあるのは事実です

── でも、結果は速かった

ここからが、本記事で一番書きたかったことになります。

今回の80kmチーム練習で、峠のラップタイムはここ最近のなかで一番よかったのです。体のコンディションがそこまで良かったわけではないのに、です。

一緒に走ってくれていたチーム員も、峠の山頂に到着したときに「いるやん」と思ったと言ってくれました。私自身、ホイールの感覚を完全に掴めているとは言えない状態でしたが、それでも峠で選手たちについていける感覚があった ── これは紛れもなく、超軽量モデルとしての力を発揮していたのだろうと考えています。

THE GAP ─ 感覚と結果のズレ
AETHER(8LIEN) 頭の「軽い」と
体が出す「速い」が一致する。
感覚と結果が手を取って進む。
PARTICLE GEN4 頭は「マイルド」と感じる。
でも結果は速い。
感覚と結果に静かなズレがある。
どちらが正解という話ではなく、性格の異なる2種類の機材

ここで言いたいのは、AETHERが優れているとか、PARTICLEが劣っているという話ではありません。頭と体のフィーリングの整合性を求めるならAETHER、感覚は静かでも結果でついてくる機材を求めるならPARTICLE ── そういう違いがある、という観察です。

そしてもう一つ。私はまだ完全にこのウルトラライトの進ませ方を掴めていない状態で、それでもこのラップが出ました。ということは、もう少しこのホイールの個性に体が慣れてくれば、さらにタイムは伸びる可能性が高い ── そう感じています。慣れの軌道はすでに走り出して感じていて、リズムも徐々に合ってくる感覚がありました。


味付けの違い ── ひと口だけ


この詳細はVol.5の総括回で書いていきますが、ここでは触りだけ。

ハイパーライトとウルトラライト、リムハイトはほぼ同じ50mm前後、重量も大きくは変わらない。それでも今日、両方を走らせた感覚から1つだけ違いを挙げるとすれば、「進ませ方の方向性」になります。

同じ50mmハイト、進ませ方の違い
GCX Hyperlight 52mm グゥーグゥーと、自転車を前に伸ばしていく感覚。
軽量だけど平坦寄り
RCX Ultralight 50mm キュンキュンと、ペダリングに合わせて反応する。
ほぼ同重量だけど登り寄り

ハイト同じ、重量近い、それでも性格は明確に違う ── ここはPARTICLEのシリーズ思想の差が滲んでいる場所だと感じています。GCXとRCX、それぞれのシリーズが「どんな乗り手のために設計されているか」という処方箋的な視点で、Vol.5で詳しく書いていこうと思います ──


誰のためのウルトラライトか


ここまで書いてきた素顔から、RCX Ultralight 50mmが合う乗り手・コースを整理しておこうと思います。

① ヒルクライム志向の方

1000g前後の超軽量ホイールが本領を発揮する、登り中心の走りに最も合います。長い峠を含むコース、登り下りが繰り返されるコースで真価を発揮するホイールです。

② ダンシングを多用して攻める走り方

ダンシングしてもブレないカチっとした剛性感があるので、ダンシングで登坂区間を攻めていきたい乗り手に向いていると感じます。21mm幅のタイトさも、ここで効きます。

③ 脚質は両方OK ── ただし「回転を上げやすい」印象

回転型・トルク型、どちらの脚質でも乗れるホイールだと感じます。私自身が今回走らせた感覚としては、回転を上げる方が応答との相性が良い印象がありました。トルク派の方が乗っても問題なく走れますが、ホイールの「キュッキュ」「クンクン」というリズムには、回転型の脚運びがやや馴染みやすいだろうと感じます。

④ 長距離平坦メインの方には別シリーズを

43〜45km/h超の高速巡航で「自分次第」の領域に入っていくため、平坦長距離をメインにする方には、ウルトラライトの21mm幅は最適とは言いにくいです。その場合は、同じPARTICLEの中でもハイパーライト側、もしくは別シリーズが処方箋に合います。

これは個人の感じ方の話ですので、断定するつもりはありません。ただ、多種の機材を試してきた経験から、このホイールはこういう乗り手と相性が良いと感じる ── そういう私の主観として読んでいただければと思います。


Vol.5へ ── 4層を上から下まで、という発見


ここまで、RCX Ultralight 50mmの素顔を書いてきました。最後に、Vol.5の総括へ橋渡しをしておきたいと思います。

今回ウルトラを走らせて、ハイパーと並べたときに見えてきたのは ── PARTICLEというブランドは、中国カーボンホイールが受け持つ層を、一社で上から下まで揃えているのではないか、という仮説です。ハイパー、ウルトラ、ライト、チーム。この4つの階層をひとつの会社が用意している。

そしてもう一つ。今回触れたウルトラライトは21mm幅でしたが、PARTICLEは同じウルトラライトのなかに、25mm幅もラインナップしています。AETHER 5のようなライバル機種には21mm幅の選択肢はありません ── つまりPARTICLEは、同じグレードのなかでもリム幅で複数の選択肢を持っているということです。

なぜそうしているのか。それは何を意味するのか。── ここから先は、Vol.5の総括回で詳しく書いていこうと思います ──


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※ 本記事のインプレッションは筆者個人の体感に基づくものであり、体重・走行環境・セッティングにより印象は異なります。

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