クラフトワークス CS5060|インプレッション
クラフトワークス CS5060 ──
重くもなく、軽すぎるわけでもない。
この「独特な感覚」の正体
第1回ではCRWというブランドの正体を、第2回ではハブ・スポーク結合機構のテクニカルな核心をお伝えしました。
最終回となる今回は、いよいよCS5060を実際に走らせた印象をお届けします。数字やスペックの話ではなく、ペダルを踏んだ瞬間に身体が感じ取る「感覚」の話です。
| MODEL | SPEC |
|---|---|
| ホイール | Craft Racing Works CS5060 |
| リムハイト | フロント 50mm / リア 60mm |
| 重量 | 1,250g ± 2%(ペア) |
| タイヤ | Panaracer AGILEST FAST TLR 28c |
踏み込んだ瞬間の「意外」──
60mmハイトが見せた、予想外のマイルドさ
リア60mmハイト。この数字を見た時点で、正直に言えば「踏み出しは重いだろう」と予想していました。
結論から言います。予想は裏切られました。
踏み込んだ瞬間の脚当たりは、驚くほどマイルドです。60mmハイト特有の剛性感 ── ペダルに体重を乗せたときにリムが受け止める「硬さ」は確かにあります。でも、60mmにありがちな回転し始めるまでのもたつきがほとんど感じられません。
かといって、45mmや50mmの軽量ホイールを踏んだときの「スコン!」と抜ける感覚とも違う。重い訳でもなく、軽すぎる訳でもない。どこにも分類できない、独特な踏み出し感です。この感覚は、正直なところ言葉にするのがとても難しいのではないかと感じています。
フロントホイールの空気抜けとハンドリング
フロントに関しては、走行中の空気の抜けの良さが印象的でした。スポーク本数がフロント16本と少ないことが影響しているのかもしれません。走行中にハンドルを意図的に揺さぶってみても、まるでフロントホイールが存在しないかのようにスカスカと抵抗なく動きます。
ただし、ここで注目したい事実があります。抵抗が少ないからといって、走行中にふらつく感覚は一切ありません。ハンドリングはとてもニュートラルです。ダンシング時のハンドルの振りやすさも特筆に値します。バイクを左右に振ったときの応答が自然で、ホイールに振り回される感覚がないのです。
60mmディープの剛性感はある。でも「重さ」はほとんどない。45mmの「スコン!」とも違う。重くもなく、軽すぎるわけでもない ── このホイール独自の踏み出し感覚が存在します。リムハイトの数字から想像するイメージとは、良い意味で異なるホイールではないかと感じています。
F50 / R60mm が生む巡航の質 ──
リニアな加速と、高速域の「伸び」
巡航速度の維持に関しては、やはりフロント50mm / リア60mmという前後異径の組み合わせが効いています。「ディープリムホイールの巡航性能」と聞けば当然の話に聞こえるかもしれませんが、CS5060の巡航には少し独特な質感があります。
まず、加速が滑らかです。ペダルを踏み込んでからスピードに乗るまでの過程がリニアで、途中に引っかかりや急激な加速の段差がありません。速度が一定に達したあとの巡航維持もしやすく、脚を回し続けるリズムが崩れにくいと感じました。
そして何より楽しいのが、高速域での伸びです。40km/hを超えたあたりからもう一段スピードが乗っていく感覚があり、「リニアに進んでいる」という実感が身体に伝わってきます。平坦の高速巡航が好きなライダーには、かなり楽しいホイールではないかと思います。
ワイドリムとカーボンスポークが支える下りの安定感
下りのコーナリングでは、ワイドリムの恩恵がはっきりと感じられます。28cタイヤとの組み合わせで接地感が高く、路面からのフィードバックが途切れません。
加えて、カーボンスポークの横剛性の高さがコーナーで効いています。バイクを倒し込んだときにホイールが揺れたり、たわんだりする感覚がありません。60mmハイトのディープリムで下りのコーナーに不安を感じないというのは、率直に言ってかなり優秀だと感じています。
踏み込みから巡航速度まで段差のないスムーズな立ち上がり。引っかかりがなく、リズムが崩れにくい
40km/h超からさらにもう一段スピードが乗る感覚。F50 / R60mmの空力特性が活きる速度域
ワイドリム × 28cタイヤの高い接地感。カーボンスポークの横剛性がコーナーでのホイールのブレを抑制
ディープリムで登れるのか ──
長い登りと、短いパワー系の登り
ディープリムホイールの登坂性能は、多くのサイクリストが気にするポイントでしょう。結論から言えば、CS5060は長めの登りも、短いパワー系の登りも、どちらでもこなせるホイールだと感じました。
もちろん、ディープリム感はあります。45mmなどの軽量ホイールと比較すれば、踏んだときの脚当たりはしっかりしています。硬いと感じる人もいれば、重いと感じる人もいるかもしれません。
しかし、ここで注目していただきたいのは他社ディープリムとの比較です。同じ50-60mmクラスのディープリムホイールと比べると、CS5060は明らかに軽快です。「剛性が高すぎて踏むのもシンドイ」「ハイケイデンスじゃないと進まない」── そういった感覚はありません。
私がとくに好印象を持ったのは、ケイデンスのスイートスポットの広さです。低ケイデンスのトルク型で踏んでもいいし、90rpm以上で軽く回してもいい。登り方のスタイルを選ばないホイールだと感じています。ディープリムでこの許容範囲の広さを実現しているのは、リム剛性とスポーク設計のバランスが優れている証拠ではないかと考えています。
45mmクラスの軽量ホイールと同じ軽さを期待するのは違います。でも、他社の50-60mmディープリムと比べれば明確に軽快で、登り方のスタイルを限定しない懐の広さがあります。登りを犠牲にせずにディープリムの巡航性能を手に入れたいライダーには、十分に検討する価値のあるホイールではないかと感じています。
8LIEN F50R50との比較 ──
正直に書きます
最後に、避けて通れない比較について正直に触れておきたいと思います。
私が今一番気に入っているホイールは、8LIEN AETHER 5 ── F50 / R50mmです。前後50mmのオールラウンドなバランスが秀逸で、登坂も巡航もどちらも高い水準でこなす。これは当ブログの8LIENシリーズでも詳しくお伝えした通りです。
では、CS5060は8LIENに対して数万円高い価格差に見合う「明確な性能差」があるのか。
正直に言います。非常に判断が難しい。
CS5060はリア60mmハイトの空力アドバンテージにより、高速巡航の伸びと維持では確かに8LIEN F50R50を上回る場面があります。カーボンスポークの横剛性の高さから来るコーナリングの安定感、そしてあの独特の踏み出し感覚は、このホイールでしか味わえないものです。
一方で、8LIEN F50R50は前後50mmのバランスの良さによって登坂性能とオールラウンド性に優れ、価格も抑えられている。どちらが「上」ということではなく、性格の違いだと感じています。
独特のマイルドな踏み出し感
コーナリングの横剛性
スポーク16本の空力設計
→ 高速域を楽しみたいライダー
前後同径の扱いやすさ
コストパフォーマンス
軽量性の優位
→ オールラウンドに使いたいライダー
3回にわたってCraft Racing Works CS5060をお伝えしてきました。
ブランドの正体、テクニカルな構造の核心、そして実際に走った身体の感覚。すべてを総合して言えることがあるとすれば、CS5060は「スペックの数字だけでは伝わらないホイール」なのだと思います。
50/60mmという数字から想像する乗り味と、実際にペダルを踏んだときの感覚のギャップ。それこそが、このホイールの最大の個性ではないかと感じています。
興味を持たれた方は、ぜひ一度ご自身の脚で確かめてみてください。データでは伝わらない「あの感覚」を、店頭でお試しいただけます。
【Jamcycle 機材インフォメーション】
Craft Racing Works CS5060をはじめ、店舗にて試乗予約・ご相談を承っております。
データだけでは語れない「生きた機材の感覚」を、ぜひご自身の脚でご体感ください。
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・Mail:info@jamcycle.net
※ もちろん、店頭でのお声がけも大歓迎です。
※ 本記事のインプレッションは筆者個人の体感に基づくものであり、体重・走行環境・セッティングにより印象は異なります。

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