【8LIEN AETHER 5 徹底解説 Vol.2】8LIENオリジナル「GEN4スポーク」

8LIEN AETHER 5 ― Vol.2 / 3

駆動効率の最大化。
8LIENオリジナル「Gen4スポーク」の深層
── 0.3mmの厚みが生む「芯のある剛性感」


なぜVONOAを採用せずオリジナルにこだわったのか。その答えは「意図的に残した数値」にあります

前回のVol.1では、AETHER 5が「外形を変えずに約150gの軽量化」を果たしたリムの素材工学について検証しました。第2回となる今回は、そのリムが持つポテンシャルを路面へと伝達する駆動ネットワーク、すなわち「スポーク」と「ハブシステム」の核心に迫ります。

■ Truth & Philosophy

8LIENオリジナル「Gen4 スポーク」──
まず重要な事実を訂正させてください


まず、重要な事実を訂正しておきます。現在Web上の一部で「AETHER 5のスポークはVONOA Gen4である」という情報が出回っていますが、私が8LIEN本国へ直接確認を取ったところ、これは事実ではありません。AETHER 5に採用されているのは、8LIENが独自に開発した「8LIEN オリジナル Gen4 カーボンスポーク」です。

なぜ彼らは、業界のベンチマークであるVONOAを採用せず、オリジナルにこだわったのか。その答えは、彼らが意図的に残した「ある数値」に隠されていました。

■ Dynamics

0.3mmの厚みが生み出す
「芯のある剛性感」


カーボンスポークは、単に軽ければ良いというものではないと思います。各世代のスペックを比較すると、8LIENの明確な設計意図が浮かび上がってきます。

モデル重量厚み
8LIEN Gen 3(前作 L5W)約3.0g4.5mm1.0mm
VONOA Gen 4(業界標準)約1.8g3.2mm0.9mm
8LIEN Gen 4(AETHER 5)約2.0g2.7mm1.2mm

AETHER 5のオリジナルスポークは、VONOAよりもわずかに重く、そしてわずかに「厚い」

幅を2.7mmまでスリム化することで、前作で課題だった横風をいなす空力特性を獲得。その一方で、VONOAの0.9mmに対して、あえて1.2mmという厚みを持たせています。

軽さのカタログスペックだけを競うなら、彼らも0.9mmまで薄くできたはずです。しかし8LIENは、0.3mmの厚みを「意図的に」残しました

なぜ0.3mm厚くしたのか ── 私の考え

この0.3mmの差が生むのは、「芯のある剛性感」ではないかと考えています。VONOAの極薄スポークが持つ「しなやかさ」は素晴らしいのですが、8LIENは踏み込んだときにスポークが負けずに反発する「芯」を残すことを優先したのだと思います。

実際にVol.3のインプレッションで触れた「ピュンピュンピュンと反発して推進力に変換している」という感覚は、まさにこの0.3mmの設計判断が生んだものだと感じています。スポークが力を吸収しすぎず、かといって硬すぎず ── その絶妙なバランスが1.2mmという数字に凝縮されているのではないでしょうか。

■ Evolution

前作Gen3からの進化 ──
何が変わり、何が意図的に残されたのか


Gen3(L5W)の課題

幅4.5mm / 厚み1.0mmの「きしめん」形状。縦の剛性と空力には優れるものの、高反発・高剛性ゆえに乗り心地が硬く、横風の影響を受けやすいという課題がありました。

Gen4(AETHER 5)の回答

幅を2.7mmまでスリム化し、横風をいなす空力特性を獲得。厚みは1.2mmに増やし、踏み込みに負けない「芯」を確保。重量は約2.0gとVONOAより0.2g重いだけ。「軽さの中に剛性を残す」という、8LIENならではのバランスを実現していると感じます。

この進化の方向性が興味深いと思います。多くのメーカーが「より薄く、より軽く」を追求する中、8LIENはあえて厚みを増やした。これは「カタログスペックの軽さ」よりも「実走での踏み応え」を優先する判断であり、彼らの設計哲学の本質が表れている部分ではないかと感じています。

■ Hub System

スポークの反発力を受け止める ──
ハブ側の設計について


優秀なスポークも、それを受け止めるハブが伴わなければ性能を発揮できません。AETHER 5のハブは、Gen4スポークの反発特性を最大限に活かすよう設計されていると考えられます。

フランジの角度やスポーク穴の位置は、1.2mmの厚みを持つGen4スポークが最適なテンションで張られるよう計算されているのではないかと推測しています。リム、スポーク、ハブ ── この3つが一つのシステムとして統合されていることが、AETHER 5の走りの質に繋がっているのだと思います。

「システムとしての完成度」

Vol.1で検証したT1100G / M40Xのリム、本記事で検証したGen4スポーク、そしてハブ。これらが個別に優れているだけでなく、互いの特性を活かし合う関係にあることが、AETHER 5の本質ではないかと感じています。リムの剛性でパワーを受け止め、スポークの反発で推進力に変換し、ハブがそれを支える ── この連携が、Vol.3で体感した「独特の速さの文法」を生んでいるのだと思います。


Vol.2では、8LIENオリジナルGen4スポークの設計意図を掘り下げてきました。VONOAを採用せずオリジナルにこだわった理由、0.3mm厚くするという「逆張り」の判断、そしてリム・スポーク・ハブのシステム統合。これらが1040gという超軽量ホイールに「芯のある走り」を与えていると感じています。

次回の最終回Vol.3では、これらの技術が実際の走りにどう表れるのかを検証します。サイクリングロードでの巡航、ダッシュ、峠、そしてコーナーと風 ── 1040gの「速さ」と「代償」を、身体で確かめてきました。先にお伝えしておくと、このホイールは「速い」です。ただし、その速さには独特の文法があります

【Jamcycle 機材インフォメーション】
8LIEN AETHER 5をはじめ、店舗にて試乗予約・ご相談を承っております。
データだけでは語れない「生きた機材の感覚」を、ぜひご自身の脚でご体感ください。

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