【 8LIEN 徹底解説 Vol.3】|L5W & F50R50 実走インプレッション

8LIEN Deep Dive ― Vol.3 / 4

L5W & F50R50
実走インプレッション
──姉妹機種が見せる、
オールラウンダーの「ふたつの答え」

超万能のL5W、軽量エアロ化したF50R50。たった5mmの差が、走りの性格をどう変えるのか


Vol.1でブランドの背景、Vol.2でテクニカルな共通仕様を見てきました。第3回からは、いよいよ実走インプレッション編に入ります。

Vol.3でお届けするのは、Jamcycleが取り扱う8LIEN 4モデルの中で、最も多くのライダーに届いてほしい2本 ── オールラウンダーのL5W(F45/R50mm)と、その姉妹機であるLW:F50R50(F50/R50mm)です。

フロントのリムハイトがたった5mm違うだけ。しかし、この差がもたらす走りの変化は想像以上に明確でした。同じ「オールラウンダー」という枠の中で、2本がそれぞれ異なる答えを提示しているように感じます。

■ Part 1 ── L5W(F45 / R50mm)

超オールラウンダー ──
「どんな局面でも楽しく使えるホイール」


L5W ─ 確認済みスペック
リムハイト:フロント 45mm / リア 50mm
ペア重量:1,220g ±30g
リム内幅 / 外幅:25mm / 34mm
テスト時空気圧:4.2bar(体重80kg)

■ 踏み出し ── シリーズの中でダントツ

まず結論から言ってしまいますが、L5Wの踏み出しは、8LIEN 4モデルの中でダントツに軽快です。

これはもちろん、1,220gという重量の軽さもありますが、もう一つ重要な要素があるように感じます。硬いスポークと内幅25mmのワイドリムが、フロントホイール・リアホイールともに路面をしっかりと捉えてくれる。その結果、踏み込んだ瞬間からトラクションがしっかりとかかり、推進力へと変換されていく感覚があります。

Vol.2で触れた「幅4.5mmを残した第3世代スポーク」── この設計判断が、踏み出しの瞬間の「ゼロロス感」として実走に表れているのではないかと感じます。

■ 平坦巡航 ── ハイケイデンス向きの抜けの良さ

平坦での巡航感は、8LIENらしい「脚にまとわりつかない」タイプ。どちらかというとペダリングの抜けが良く、ハイケイデンスで回していくのが似合う性格だと感じます。

1,220gという重量からすると、60mmディープのような「グワン!」と進む巡航の暴力的な加速感はありません。しかし、そこに不満があるかと言われると、まったくないのです。むしろこの軽量さがもたらす脚の残り方は、長距離で確実に効いてきます。

ハンドリングはクイックですが、過敏ではありません。横風の影響もディープホイールに比べるとかなり少なく、「いつでも・どこでも・気兼ねなく使える」という信頼感があります。

■ 登坂 ── ここは本当に素晴らしい

L5Wの真価が最も分かりやすく出るのが、登坂です。

リズムが取りやすい。ハイケイデンスが向いてはいますが、トルクをかけた低ケイデンスでも問題なく走ってくれます。この懐の深さが、色々なタイプのライダーに合う理由だと思います。

そして特筆すべきはダンシング。フロントの剛性が高いおかげで、バイクを振りやすく、本当に軽快で気持ちよく登れます。「登坂用ホイール」ではないはずなのに、ここまで登れてしまうというのが、L5Wの凄さです。

■ 乗り心地 ── ワイドリムの恩恵と、第3世代スポークの硬さ

空気圧は4.2bar(体重80kg)で運用しています。体重に応じて調整が必要ですが、ワイドリム25mmがもたらす路面追従性の高さは明確に感じられます。

一方で、正直にお伝えしておきたい点があります。第3世代カーボンスポークの剛性の高さから、縦方向への突き上げの硬さは感じます。これは8LIENのキャラクターそのものであり、「カーボンの硬さ」を体感するという意味では、むしろ個性の一つだと思います。

AETHER 5との比較について

2025年当時、第4世代スポークがまだ世の中に登場していなかった時期には、L5Wのカーボンスポークの中でも、ワイドリム25mmの恩恵で振動吸収性はかなり高い部類だと感じていました。しかしその後、AETHERシリーズが発売され、第4世代スポークを採用したホイールと比べると、どうしても振動吸収性では劣ります。

ただしこれは「L5Wが悪い」という意味ではなく、AETHERシリーズが次世代の振動吸収技術を搭載したという話です。L5Wはあえて剛性を残した設計として、今も独自のポジションを持っていると感じます。

■ ハンドリング ── 至ってニュートラル

ハンドリングの違和感は、まったくありません。至ってニュートラルで、軽快。フロント45mm / リア50mmというバランスが絶妙で、前後のキャラクターのギャップを感じることがない、というのが正直な印象です。

このニュートラルさこそ、L5Wが「超オールラウンダー」と呼ばれる本質だと思います。

L5W ─ Verdict
「どんな局面でも楽しく使えるホイール」
オールラウンドの用途で選ぶなら、このホイールで間違いないと思います。

登り・下り・平坦、すべてを高い水準でこなす1本。ロングライドも問題なくこなせますし、しなやかなタイヤと組み合わせれば、L5Wの良さがさらに引き出されます。登り下りを楽しみたい人にはもってこいのホイールです。


■ Part 2 ── LW: F50R50(F50 / R50mm)

軽量エアロホイール ──
「もっさりしないエアロ」を楽しむための1本


LW: F50R50 ─ 確認済みスペック
リムハイト:フロント 50mm / リア 50mm
ペア重量:約1,230g(実測)
リム内幅 / 外幅:25mm / 34mm
※ L5W比:フロントリムハイトが+5mm

■ 踏み出し ── L5Wとほぼ同じ

踏み出しの軽快さに関して言えば、L5Wとの差はほとんど感じられませんでした。僅差と表現するのが一番しっくりきます。

フロントのリムハイトが45mm→50mmと5mm上がっていますが、リムハイトの差がこの程度であれば、踏み出しの瞬間の印象を変えるほどの影響はないということなのでしょう。

■ 平坦巡航 ── ここで違いが見え始める

巡航域に入ると、L5Wとの違いが明確に感じられるようになります。

フロントが50mmになることで、エアロホイール特有の感覚が出てきます。ジャイロ効果でフロントが立とうとする感覚、そして前に引っ張っていくような推進感。たった5mmの差なのに、この違いは確かに感じ取れます。

リアは同じ50mmなので、後輪の軽快さはL5Wとほぼ同じ。結果として、走りの性格はL5W寄りだけれど、平坦でのエアロ感が加味されているという印象になります。

■ 登坂 ── 違いはほとんど感じない

ダンシングの違いも、L5Wと比べてほとんどありません。少し「エアロホイールだな」と感じる程度で、扱いの難しさはまったくないというのが率直な感想です。

登坂性能を犠牲にせず、平坦でのエアロ感を足した ── そんなイメージがぴったりだと思います。

■ 横風 ── ここはL5Wより影響を受ける

正直にお伝えしておきたいのが、横風の影響です。

軽量な50mmハイトということもあり、横風の影響は確かに受けます。この点はL5Wとの明確な違いです。無風状態であれば、50mmハイトのリムが前に引っ張ってくれる感覚はとても気持ちいいのですが、横風になるとどうしても煽られている感覚が出てきます。

L5WとF50R50、本当に難しい選択

無風状態なら、私はF50R50を選びたくなります。フロント50mmのエアロ感、前に引っ張られていく推進感 ── この楽しさは間違いなくF50R50側にあります。

しかし、横風や向かい風のコンディションを考えると、やはりL5Wの方がベターな選択になるのかな、とも感じます。走行時のコンディションをどこまで想定するかで、選択が変わってくる ── これが姉妹機種の難しくて面白いところだと思います。

■ どんな人に向いているか

F50R50は、L5Wでは物足りないと感じた人に向けたホイールだと考えています。

「せっかくディープリム気味のホイールに乗るんだから、多少の横風があってもやっぱりエアロホイールとして使いたい」── そう感じる方には、F50R50のエアロ感の楽しさがハマるはずです。

また、パワーのあるライダーにとっては、F50R50の横風問題はほとんど気にならないレベルだと思います。脚力があれば、エアロ効果の恩恵の方が大きく出る ── そういうホイールです。

LW: F50R50 ─ Verdict
「軽量エアロホイール」
もっさりしてないエアロホイールを楽しみたい人へ。
L5Wを少し平坦寄りに味付けした姉妹機種です。

■ 完全に姉妹機種 ── L5W vs F50R50

超オールラウンダーと、
少し平坦寄りに振った姉妹機


最後に、この2本の関係性をもう一度整理しておきたいと思います。

L5WとF50R50は、完全に姉妹機種です。
超オールラウンダーのL5W。
F50R50は、少し平坦へ味付けをしたエアロホイール。 ── Jamcycle

踏み出しは僅差。ダンシングの扱いやすさもほぼ同じ。違いが出るのは、平坦での巡航感と、横風への耐性。この2点に集約されます。

L5Wを選ぶべき人

風向きを気にせずどんなコンディションでも使いたい人。登り下りを楽しみたい人。「1本で全てをこなす」という使い方をしたい人。初めて8LIENを選ぶ方には、迷わずこちらをおすすめします。

F50R50を選ぶべき人

平坦での巡航感やエアロ感を楽しみたい人。パワーがあり横風問題があまり気にならない人。L5Wでは少し物足りないと感じた経験がある人。「もっさりしないエアロ」という独自ポジションを楽しみたい人。

どちらが上・下ではなく、それぞれに明確な意図と楽しみ方がある2本。この関係性こそが、8LIENというブランドの奥行きを物語っているように感じます。


Vol.3では、オールラウンダー姉妹機の L5W と LW:F50R50 のインプレッションをお届けしました。

次回のVol.4では、いよいよ残る2本 ── ディープリム系のLW:F50R60L6Wに入っていきます。こちらも兄弟機とでも呼ぶべき2本で、前後異径のF50R60と前後統一のL6Wが、それぞれ異なるディープホイールの答えを見せてくれます。

「思いっきりモガきたくなるホイール」のF50R60。「登れる超エアロホイール」のL6W ── シリーズ完結編となる最終回、ぜひご期待ください。

【Jamcycle トレーニング・機材インフォメーション】

8LIEN各モデル(L5W / LW:F50R50 / LW:F50R60 / L6W)、店舗にて試乗予約・ご相談を承っております。データだけでは語れない「生きた機材の感覚」を、ぜひご自身の脚でご体感ください。

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