【生理学Vol.1】距離を乗るほど失われる「爆発力」。
距離を乗るほど失われる「爆発力」。
ー私が直面した課題について
ロードバイクに真面目に取り組むサイクリストほど、ある時期からこんな壁にぶつかることはないでしょうか。
「タフに長く走れるようにはなったが、ハイスピードが維持できない」
「若い頃のような、ガツンと踏み込む爆発力が失われた」
実は私自身も、ここ数シーズン、自分のフィジカルに同じようなもどかしさを感じていました。
「年齢のせいだろうか?」「もがきが足りないのか?」と悩み、改めて最新の運動生理学を学び直す中で見えてきた、ひとつの「気づき」をここでシェアさせてください。
「器(天井)」の低下と、中強度の罠
冬場やベース構築期に、テンポ走やSST(スイートスポット)、L4といった「そこそこキツい強度」を長時間続ける。これは長年信じられてきたセオリーであり、私自身も熱心に取り組んできました。
しかし、一定ペースに過剰適応した身体は、その代償として「VO2max(最大酸素摂取量)」や無酸素領域のパンチ力を、少しずつ手放してしまうようなのです。
器(VO2max)自体が小さくなっている状態で、いくらその中身(FTPやL4)を満たそうとしても、生理学的な頭打ちがきてしまう。従来の「下から積み上げる」方法だけでは、失われた天井の高さは取り戻せないのではないか、と考えるようになりました。
距離を追う前に「本能(ホルモン)」を目覚めさせる
「ならば、高強度のVO2maxインターバルをやればいい」と焦ってしまいがちですが、ここにも落とし穴がありました。
慢性的な中強度(L3/テンポ走)の継続は、身体に負担をかけ、「コルチゾール」というストレスホルモンの分泌を促すそうです。これが、筋肉やパワーの源である「テストステロン」を抑制してしまう現象(コルチゾール・スチール)を引き起こします。
ベースを作るために真面目に乗れば乗るほど、身体を削り、踏む力を失っていく……。この状態で高強度の心肺トレーニングを行っても、身体はダメージを受けるだけで、なかなか強くなれません。
「電気を通す」という新しいアプローチ
現在、私自身とTeam hsjの一部の選手は、従来のセオリーを少しお休みして、新しいアプローチを実験しています。
それは、VO2maxを叩く前に、まず身体に「電気を通す」こと。
完全にリラックスしたL2のゆったりとしたライドの中に、神経系とホルモン(テストステロン)を静かに目覚めさせるための「ある特定の刺激」だけをスパイスとして組み込みます。
中途半端な強度を省き、低強度と高強度にメリハリをつける「ポラライズド(両極化)」。
これが、再び高く飛ぶための「器」を広げるための、今の私のひとつの答えです。
もし、日々のトレーニングの伸び悩みに直面している方がいたら、この「生理学的な逆算」が何かのヒントになれば嬉しいです。
【次回】
この「ポラライズド式」が、エンデューロやヒルクライムといった持久系レースにおいてもなぜ必要なのか? 生理学の視点からもう少し深掘りしてみたいと思います。

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